「飛んで、曲がらない?」といわれている市販のアイアンセットは、ヘッドに、チタン、マレージング、ステンレスなど素材が使われていることが多く、比重の軽い素材を使うことで「深&低重心」、「中空構造」、「オーバーサイズ」などにでき、軽いカーボンシャフトが装着された長尺の製品が多いようです。
第8話で説明した様な、どうしようもないヘッドのほとんどが、上記のようなアイアンセットでした。ロフト、ライ角の調整はヘッドをつかみ、ネックを曲げるのですが、軟鉄鍛造品以外の素材は、簡単には曲げることができません。曲がらなければ、調整できず、どうすることもできません。
スペック(ロフト角、ライ角)には、無限のパターンがあります。下記の表1は、その一例です。
番手 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | PW |
ロフト(度) | 21 | 22.5 | 27 | 31 | 33.5 | 39 | 42 | 46.5 |
ライ(度) | 58 | 58.5 | 61 | 61.5 | 63 | 62.5 | 62.5 | 62 |
長さ(inch) | 39 | 38.5 | 38 | 37.5 | 37 | 36.5 | 36 | 35.5 |
(長さが3I~PWまで半インチピッチで短くなっている場合。)
まず、ロフト、ライ角の番手間のピッチを計算すると、
(ロフト) | 1.5 | 4.5 | 4.0 | 2.5 | 5.5 | 3.0 | 4.5 |
(ライ) | 0.5 | 2.5 | 0.5 | 1.5 | -0.5 | 0.0 | 2.5 |
となります。仮に、5、6Iあたりが一番打ちやすいと感じていたとすれば、5、6Iを基準として他の番手、全体を見ていけば間違ったスペックがわかります。
5、6Iを基準にロフト(距離感)について考えてみると、4,7Iは飛びすぎると感じ8I飛ばないと感じていたと考えられます。
5、6Iを基準にライ(方向性)について考えてみると、3,4Iは捕まらず右へ、7Iは左、9Iは右でPWは左に飛んでいたと考えられます。
3、4Iはロフトが起きているので捕まらないのではなく、5Iからするとライがフラット過ぎるので捕まりません。
9IとPWのピッチが2.5度では同じ方向に飛ぶはずもありません。
「飛びすぎる番手を飛ばないように。」「飛ばない番手を飛ぶように。」「右へ飛ぶ番手を真っ直ぐに。」「左へ飛ぶ番手を真っ直ぐに。」このように、無意識に道具に合わせたスイングをさせられているのです。
ロフト、ライ角の統一されていない道具からは、一定のスイングは手に入りません!