手抜き工事!?

 クラブを組み立てる作業工程で、必ず、シャフトとヘッドを接着剤で接着する工程がいります。

 接着する作業には、シャフトとヘッドの他に、ソケットと接着剤を準備します。

 接着剤をヘッドのネックの穴と、シャフトの先端に付け、シャフトの先端にソケットを挿し込み、シャフトの先端をヘッドのネックに入れ、接着剤が固まれば、次の工程へ進めます。

 反対に抜く場合ですが、スチールシャフトのアイアンを抜く場合は、特別な機材は要りません。ネックに熱を加え(バーナーなど)ヘッドをバイスなどに傷が付かないように、しっかりと固定し、グリップの付いたままのシャフトを捻りながら、引っ張れば、抜けます。カーボンシャフトの場合は、専用の機器を用います。
リシャフトの跡 リシャフトの跡

 ひょんな事から、当店のお客様となって頂いた、遠方のお客様がおられます。

 先日、その方から、アイアン9本のリシャフトの依頼があった時のこと・・・

 いつものように熱を入れ、抜いてみると、通常よりも手ごたえがなく、妙に簡単に抜けるので、シャフトの先端を見てみると、メッキが残ったままで、接着部分のメッキを完全に剥がして荒らされていなかったのです。

 「1本ならしょうがないかな・・・?」と思いながら、続けて抜いていくと、2本目、3本目も同じでした。

 
リシャフトの跡結局、9本共でした・・・
 
 ヘッドとシャフトを接着する時に、シャフトの先端をスチールシャフトの場合はメッキ、カーボンシャフトの場合は塗装をサンドペーパーなどで取ってやります。

 メッキや塗装の上からでは、接着力が弱くなる事は、素人でも分かりそうなものですが・・・・?

 ヘッドはパーツ業界では誰もが知っているのであろうヘッドで、シャフトも同じく今流行りのシャフトでした・・・。

 今回は、ネックにバランサーが入っていた事よりも、ロフト角、ライ角、スパインなどの数値が合っていない事よりも、シャフトの先端が荒らされておらず、メッキが残った状態で接着されていた事に愕然としました。

 手抜き工事?という事になるでしょうか・・・?

 お客様には、抜いたシャフト、9本を、お返して見て頂きました。

 後に、お客様から、造ったクラブの測定表があるとのご連絡を頂いたので、ファックスで送って頂き、確認してみると、しっかりとした測定表ができていました。

 そこには、接着剤の名前(品番)が書いてあり、接着日と仕上げ日が書いてありました。

 この、抜いたアイアン9本の接着日と仕上げ日が同じ日になっていた事を確認して、一人、運び込まれたアイアンの仕上がり具合に納得したのでした・・・。