Iさんは、2001年の12月に初めて来店して頂き、今では、アイアン、ウッド、パターの全てのクラブを調整させて頂いているお客様です。
そのIさん。先週、久しぶりにドライバーを2本持ってお見えになりました。
1本は、初めて持ち込まれる新しく購入されたドライバーです。もう1本は以前に当店で、リシャフトしたドライバーで、何回か微調整を加えた見慣れたものです。
実は、このヘッドには思い出があるのです!
リシャフト後は、気に入って使用して頂けているようでしたが、今回さらなるドライバーをと、新しく購入されたクラブのヘッドに現在使用のシャフトを挿しかえることとなったのです。
Iさんの以前からのお気に入りのドライバーは、シャフトが底まで貫通し、しかも、ネックが長いタイプのヘッドです。
つまり、シャフトとヘッドの接合部(のりしろ)が通常の約3倍の長さあります。
通常のヘッドは、接合部が3~4cmの物が多く、このタイプのヘッドの様に、接合部分が10cm前後もある物は珍しいのです。
シャフトとヘッドは接着剤で接着されております。接着剤は熱に弱く、高温で溶け出します。
つまりは、ヘッドとシャフトの接合部分を工業用ドライヤー(ヒートガン)で熱を与えることで、接着剤が溶け、ヘッドとシャフトを外すことが出来るのです。
が、カーボンシャフトやヘッドをただ単に、熱を与え、高温にすれば良いという事でもありません。
特に、カーボンシャフトの場合、シャフトを捻らずに、平行に抜かないとカーボン繊維が破損してしまいますので、専用の機材が必要なのです。
一般的な挿ししろのヘッドを抜くのに要する時間は20~30秒くらいでしょうか・・・
2.5~3倍の挿ししろのヘッドを抜く場合は、単純に計算して1分~1分半は熱を加え続ければならず、あまり、熱を加え過ぎると塗装の部分が焦げて、変色してしまう可能性があります。
Iさんのヘッドを焦がした事で、新しい機材を購入し、その後はIさんのような失敗はなくなりました。
実は、以前の機材でIさんのヘッドを抜こうとした時に、ヘッドを焦がし、変色させてしまったのでした・・・
良い仕事をする為には、良い道具が必要なのである。
誤った道具では、誤った結果しか生まないのであると、
この失敗に学ぶ事が出来ました。