私も含めて、今こそ。

 某大百科2004は年に、1冊か2冊ほどしか発売されない、チューンナップ専門誌なので、チューンナップ業界に属する一人としては、内容を見ておく事も勉強かと思い、目を通しました。

 大百科と言うくらいなので、内容は充実したものと期待しておりましたが・・・

 今、自分がやっている職業の存在を知ったのは、10年ほど前に購入した、大百科と名前が変わる前の専門雑誌「チューンナップカタログ」でした。

 その頃、既製品のクラブしか知らなかった私は、リシャフトやアングル調整をすることで、クラブの性能が変わる・・・といった内容の記事を目にし「凄い・・なるほど・・・面白そう・・・」と興味を持ち、「こんな仕事がしたい!」・・・と、夢と希望を抱いて、今に至っております。

 今ここにある某大百科を、10年前の私が読んでも、たぶん同じ気持ちになったでしょう。

 私とは、ひと回りもふた回りも年が上で、業界に何十年もおられる先輩方の記事には、幾度と無く勉強をさせて頂いたものです。

 しかし、10年経った現在の私には、当時のような無垢な視点は持っていません。「このやり方は・・・?この機材は・・・?この書き方、言い方は・・・?」と、クラブに対する『私の考え方』と記事を比較しながら、首を傾げたくなる内容にばかり目がいくようになりました。

 私は独立して4年を越え、初めてクラブをいじって10年が経ち、良い考えや正しいと思えた事をグングンと吸収し、さらに学び続けてより良いモノを求める必要があると思っています。

 しかし、クラブ作りに必要な正しい知識や技術というものは、どこで?どこから?学べばよいのでしょうか?

そこに詰められているもの そのための資格でもあれば、話も少しは早くなるのですが・・・国内、海外で、リペアスクールなど数ヶ所はあるようですが・・・?
 
 ゴルフクラブは3つのパーツから成り立ち、接着剤と両面テープさえあれば、誰にでも簡単にクラブの形を組み立てる事が出来ます。
 
 「しかし、そんなに簡単な仕事なのか・・・?」といった私の技術と経験が訴えます。

 しかし、その思いとは反対に、「誰でも簡単に組み立てや調整が出来る!」と謳い、そのために必要な工具・機材を紹介し、組み立て方や調整の仕方を解説した記事があります。

 私と同じ立場であるはずの専門家が、アドバイザーや指導員といった形で、一般ゴルファーに自分でチューンナップ出来る・・・と勧めることが、何故、出来るのでしょうか?

 私の思いは、私が勝手に思い描いているだけの物なのでしょうか?

 「チューンナップ、すなわち、『クラブの性能を上げる』ための正しい方法とは?」

 豊富な知識と確かな技術、確かな技術を生かすための確かな機材が必要なはずだと強く感じている私には、このような内容の記事は業界のレベルを下げているように感じてなりません!

 私も含めた、クラブの修理・調整・製作を生業とし、お客様と直に接する事が出来る職人たちは、今一度立ち止まり、確かな『クラブの性能を上げる』ための正しい方法を考えるときにいるのだと思います。