1本のグリップ交換でも、たまに、とんでもなく時間と根気(根性)が必要な場合があります。
「アイアンセット(10本)のグリップ交換を待っているからすぐにして下さい!」と言われても、「すみませんが、すぐには出来ませんので、宜しければ、1日預からせて頂けないでしょうか・・・?」
と言えば、ほとんどの方は、預けて下さいます。
勿論、何故、すぐに出来ないのかの理由は説明させて頂いてです。
しかし、どれだけ忙しくても、他にお客様が居なければ、2~3本までなら、その場ですぐに交換するべきだと考えております。
クラブを2~3本を持って、グリップ交換に来店される方は少なくありません。
先日も、「2本なのですが、すぐに交換出来ますか・・・?」と言われ、何も考えず、
「すぐ出来ますよ!」と調子良く返事したものの・・・
1本のグリップ交換に掛かる時間は、5分もあれば十分だと考えています。
グリップを切り裂き、引っ張り抜き、古い両面テープを取り、シャフトを綺麗にし、新しい下巻きテープを巻き、交換液を使い、挿し、向きを合わせます。
この一連の作業は、通常であれば、お客様と話をしながらでも完璧にこなさなければいけない作業のひとつです。
その2本のクラブは、有名メーカーT社製のものでした。
しかも、1度も交換していない事を思わせる、T社純正のロゴ入りグリップでした。
1本はスチールシャフトだったので、少し安心しました。でも、残り1本はカーボンシャフトだったのです。グリップをカッターで切り裂き、引っ張り抜き、シャフトに残った両面テープを見て、
「やはり!」と・・・
「太さは・・・?」と手の大きさを拝見して、「同じか、細くても良いくらいですね。」となり、覚悟を決めました。(T_T)
T社に限った事ではないのですが、下巻きの両面テープの材質や素材が原因かと思われるのですが、とにかく、シャフトにテープがしっかりと付き過ぎていて、綺麗に取り去るのに時間が掛かるのです。
カーボンシャフトの場合、5分でラッキー、10分、15分は当たり前、といった感じです。
スチールシャフトの場合は熱を加え、カッターでそぎ取れば5分あれば、綺麗になります。
カーボンシャフトは熱もカッターを使えないので、少しずつ、千切るように取るか、溶剤で溶かし、擦るように取るしかないのです。
もしも、交換時に、太さを太くするのであれば、わざわざ取り去らずに、残ったテープの上から新しくテープを巻く事も考えられたのですが・・・。
グリップを再度、自分が交換する事を考えた場合、シャフトにヘバリ付いて、なかなか剥がれないようなテープを使用するでしょうか・・・?
「次に交換する人(店主)の身になってみろ・・・!量産だから仕方ないのか・・・?」と言いたくなります。
こんな事を書いている今週も、「量産品だから仕方ないの・・・?」と言いたくなるような、どう考えてもおかしなアイアンセットが持ち込まれ、一人、勝手な覚悟を決めるのでした。