設計時と仕上がり時の差

 ゴルフの月刊誌、週刊誌などで、頻繁に「アイアン大特集」「トッププロの愛用アイアン」などといったヘッドの細かなヘッドのスペック(重心距離、重心深度、重心高、ロフト角、ライ角、長さ、スイングバランス、慣性モーメントなど)を0.1mm 0.1g単位で表示し、他メーカー、他ブランドと比較しては、「Mモデルは、Iモデルより重心距離が1.2mm短く、重心高は1.8mm高くMモデルはハードヒッター、上級者向きです。」などのコメント、時には、ヘッド重量を表示してあることもあり、5番アイアンの重量をメーカー、ブランドごとに「236.9g、260.6g、249.4g・・・・・・・・・・・」と表にしたり、ヘッドを写真にとり重心位置に印を付け比較したり、慣性モーメントが大きい、小さいとか・・・。

 いったい読者の何%がこのような記事を読んで、自分に合ったアイアンセットを購入し、書いているコメントの様に打つことができ、使いこなす事が出来るのでしょうか?

 読者の中には、写真(デザイン、刻印など)を眺めて楽しんでいるだけの方もいるようですが、真面目(真剣)に、スペックの数字を見比べて、比較検討し、自分に合ったアイアンセットを考えておられる方も多数おられるでしょう。

 市販品、量産品のヘッドの重量は、同メーカー、同ブランドでも、全く同重量でしかも、番手間のピッチが統一されている事はほとんどなく、スイングバランスを揃えるために何か細工してある場合が多いのです。第12話で書いた様に、ネックでの調整があります。ネックに入れるウエイトの量によっては、重心位置がヒールよりの高い位置になって、設計段階での低重心設計が、仕上がると高重心になってしまうこともあるのです。

 市販のアイアンセットをばらした時に7g、8g、の大量の鉛、真鍮バランサーが出てくることがあります。ネックに大量のバランサー(鉛、真鍮)が存在しているということは、ヘッド重量が設計段階(メーカーの想定した)のように製造(重量管理)できていないということです。

 ヘッドの性能を出す(設計段階の重心位置にする。)ためには、ばらして、組みなおし、重心位置の後方のバックフェースに鉛を貼る方法(作業)が良いと考えます。

 最良なのは、個人が希望(指定)の重量を造れる別注品のヘッドを使用することでしょう!