市販品や既製品クラブを調整させて頂く、「そうじ、バラす、分解」といった作業の機会が週に何回かあります。
この作業に取り掛かる前には、必ず、お客様との打ち合わせがあり、さらにその前には、お客様の現在使用中のクラブを測定する作業があります。
書き並べると、こんな作業が待っています。
- アイアン10本をお持ち込まれ、分解し、組直す事になった場合・・・
- スペックの測定に1時間・・・
- お客様に測定結果を伝え、打ち合わせに30分・・・
- ヘッド、シャフト、グリップの分解に1時間半・・・
- グリップは置いておいて、
- ヘッドとシャフトの接着準備、ヘッドの重量チェック、シャフトのチェックなどに1時間・・・
- 接着に1時間・・・
- 一晩寝かして、翌日に
- フェレル(ソケット)を仕上げるのに1時間・・・
- ロフト・ライ角測定と調整に1時間・・・
- 長さを揃え、グリップの装着に1時間・・・
- 鉛をバックフェースに貼り、バランス調整に30分・・・
- 最終のスペック測定に1時間・・・
- スペック表を眺め、納得するのに5分・・・
- 完了・・・!
この一連の作業、すべて私が一人で責任を持ってこなしている訳ですが・・・、実は、この間に好きな作業、嫌いな作業が入っています!?
店主の好きな作業ベスト3
1.持ち込まれたクラブを測定する時
2.測定表を見ながらお客様に説明する時
3.お客様のクラブを分解する時
嫌いな作業ベスト3
1.グリップを挿す時
2.ヘッドとシャフトを接着する時
3.仕上がったアイアンセットを測定する時
好きな作業というよりは、楽しく、ワクワクする時間といったほうがよいでしょうか。
嫌いな作業というよりは、神経を使い、緊張してドキドキする時間といったほうがよいでしょうか。
好きな作業ベスト3に挙げたものは、いずれも分解するまでの間の作業です。
預かったクラブを見て、測定し、ロフト・ライ角、長さ、バランスなどの数値にバラツキがあり、グリップも真っ直ぐでないといった、分解するまでも無く、酷い状態のクラブとスペック表を眺めながら、理想の数値を思い浮かべ、説明している時間は、意欲のあるときであり、さらに、分解し、パーツを並べるまではワクワクした気持ちでいられるのです。
ところが、自ら分解したパーツを測定したり、組み立てる段階で、予想していた様には行かない現状に出くわし、作業を中断してお客様に説明し、パーツの変更をお願いしたりといった事があり、スムースに事が進まない場合があります。
調整前の酷い状態のスペック表を見て、「ここがダメです!ここをこうすればよくなります!」といった批判、批評、文句、ダメだし、を言うだけは簡単な事なのですが、実際に組み立て作業に入り、完成に近づくにつれ、神経を使う作業が続きます。
特に、私の場合は、グリップ交換に最も神経を使います。
組み立てる作業に入ったら、気持ちがワクワクからドキドキに変わってしまいます。しかし、最後に目標の数値が埋まった状態のスペック表を確認し、コピーをとり、棚にクラブとスペック表を並べた時は、「フ~~!」といった感じです。
理想と現実との違いが生じる事は、多々あるでしょう。ですが、それをひとつずつ越えていく事により、お客さんに理想のクラブをお渡しする事ができ、そして、私にはひとつの経験が次への力となって刻まれていく事になります。
ほんの少し前、「事件は現場で起きているんだ!」というセリフが流行った事があります。私の仕事も、現場で起こっている事ばかりです。このようにして書き続けている文章も、現場に立つ者としての言葉です。
ですが、この言葉が届くのはとても限られた人たちのようなのです。多くの方々に触れるものは、特に書店などで容易に手に入る情報は、その多くに私が違和感を覚える事が多いのです。そして、その違和感は、そのままお客さんには、正しい評論や批評、理想となって記憶されているのです。
言葉で論ずるのは、容易な事です。しかし、容易であるからこそ、経験に裏づけされた言葉である必要があるでしょう。私には、それが感じられないために、多くの違和感を覚えてしまうのかもしれません! 頭だけで、見聞きしただけで出来上がった言葉で語られているばかりのように感じるのです!! 伝える言葉とは、重いものなのです!!!
この違和感を打ち消す為には、何が一番よいのでしょうか・・・? 毎週書き綴る事ことが、一番の近道なのかもしれませんが・・・?
以上、現場の声でした!!!!