あるトーナメントプロゴルファーの言葉を直接聞く事ができました。

 「ゴルファーにとって、クラブ(道具)は自分自身のスイングを映し出す鏡のようなものです。」・・・と。

 売る側の立場のひとりである私にとってこの言葉は、もやもやした悩みを一瞬で吹き飛ばす力を持った、最高の言葉でした。「スイングを映し出す鏡!」と言えるクラブを手にしてもらいたい、そのためのクラフトマンでありたいと。

 先日、テレビのゴルフ番組で、ある大手メーカーの新作ドライバーの紹介コーナーを見ました。

 「またか・・・」と思いながらも、ちょっと面白そうだから、見てみることに・・・

 まずは、ドライバーを手にしたメーカーの開発担当者?と司会者のトーク形式で始まり・・・

 次に、「熟練の職人達が・・・・細かなチェックを・・・・」と解説つきで、製造工程が映し出され・・・

 続いて、工場長?か社長?が出てきて、「我々は、ゴルファーの為に・・・・よいクラブを提供し続けます!」と・・・

 最後に、プロゴルファーとアマチュアゴルファーと司会者の3人によるドラコン大会?で、

 「飛びますね~お悩みの方は、是非、お使い下さい!」といった感じで終わりました。

 なんと、一方的で説明不足な・・・

 

 ゴルフクラブを勧めたり、売ったりする側の立場の人間は沢山います。

 私もその中の一人です。

 私が、初めてクラブを売ったのは、もう十数年前になります。

 既製品を売る仕事から始めた当時は、ヘッドとシャフトが何で着けられているかも知らず、グリップを切らずに抜ける事すら知らない状態でした。

 そんな事を知らないでも、既製品のクラブを、お客様は買ってくれました。

 黙っていても、お客様の方から「これを下さい!」と・・・

 お金を貰う側と払う側の間で、クラブの話が一切交わされない事は珍しい事ではありませんでした。

 

 しかし、それでは「鏡」と呼べるものをお客様に使っていただくことには絶対に至らないでしょう。

 私が試行錯誤した結果、行き着いたのが、今のパーツを組み立てて、クラブに仕上げるという形態でした。

 しかし、既製品や中古品の販売形態をとっていたショップや店が、「工房も完備!」と工房を併設し、「オーダークラブの製作もいたします!」といったところが増えてきたように感じます。

 既製品メーカーもセミオーダークラブ?といったシャフト、グリップを好きなパーツを選んでオーダーできるようにもなってきたようです。

 

 私は、クラフトマンです。既製品や中古品を売る仕事と共に、鏡となるであろうクラブが出来上がるとは、どうしても理解できないのです。

 今後も、新しいクラブの販売形態が出てくるのでしょう。

 それでも、「鏡」と呼んでいただけるクラブに一番近い方法を取る事が、私の正しい選択なのです。