先週、来店された方が持ち込んだクラブは、ある所で、フルオーダーされたというアイアンセットでした。
ある所とは、ヘッドの製造を主に手がけている所です。
話を聞いてみると、「2年ほど使ったのだが・・・なじめ無くて・・・、最近、既製品のアイアンセットを購入し使っているが、高額で造ったし、何とか使えるようにしたい。」と言う事でした。
そのアイアンセットの測定結果を目の当たりにし、アイアンが出来るまでの、やり取り(コミュニケーション)の様子を聞かせて頂き、驚きました。
ゴルフ関係の仕事に携わっている人は、世界中で一体、何人いるのでしょうか・・・?
ヘッドを造る会社に勤めている人、シャフトを造る会社に勤めている人、グリップを造る会社に勤めている人・・・・
ヘッドとシャフトとグリップを付ける人・・・
完成したクラブを店に卸す人・・・
仕入れたクラブを店頭で、お客様(ユーザー)に売る人・・・
私はヘッドを造れといわれても、今の私では上手く造れません!
シャフト、グリップも造る事は出来ません!
ゴルフに興味のない、友人、知人にクラブを造っていると話すと、ヘッドもシャフトもグリップ造っていると思われたりしますが・・・
あくまでも、ヘッド、シャフト、グリップの3つのパーツを仕入れて、組み立て、クラブにして、お客様に販売している立場なのです。
食の世界では、良い料理を作るには、良い食材が必要です。
建物の世界では、良い家を建てるには、良い木材が必要なはずです。
料理を作るシェフは良い食材を作ることは出来ないでしょう・・・
家を建てる大工さんは、良い木材を育てることは出来ないでしょう・・・
フルオーダークラブ、つまり、ヘッド、シャフト、グリップの全ての材料を仕入れ、造らせて頂ける機会が多くなって、感じる事があります。
良い材料を探し、仕入れる事も、組み立て技術同様に大切な仕事なのだという事です。
私には、良いクラブを仕上げる為に、相応しい材料かどうかの判断をする事は出来たとしても、材料自体を造る事は出来ないのです。
良い材料を当店に供給してくれるのは、様々な業者さんです。
組み立て工房(当店を含めた)は、お客様の立場になってクラブを販売することが大切であると考えます。そして、業者さんは、直接使い手と通じているショップ(当店を含めた)の立場になって商材を卸すことが大切であると考えます。お互いが、自分の出来る最高の仕事をすることで、オーダークラブをより理解して頂け、手にし続けていただけるゴルファーが増えて行くと考えます!
私は、良い材料を業者さんに卸して頂き、その素材の良さを活かし、組み立て、クラブとしてお客様に買って頂く、という業者とお客様の間で、多くの方々にオーダークラブの良さを広めていく事の出来る位置に居るのだと再確認したくなる出来事でした。