シャフト軸線とネック中心線のズレ!

 先日、T社の3~PWのアイアンセットをばらし、組み直したのですが、作業時間がかかった割に、仕上がりに満足、納得することが出来なかったのでした。

 ヘッドにシャフトを挿した後、ヘッドを手に持ち、ヘッド側(チップ側)を手前にして、ヒール、ネック(ホーゼル)、シャフト(バット側)にかけて視線をずらしていくと、ネックに対してシャフトが真っ直ぐに入っているかどうかを確認することが出来るのです。(360度どの方向にもずれていないかを確認するのです。)

 ヘッドの出来が良いアイアンセットを組む場合は、作業もスムーズに進むものですが、出来が悪いとシャフトを挿す度に必要以上に確認をし、納得がいかなければ挿し直し、思う様に作業が進まないのです。

 このセットは、数本がネックの穴が真っ直ぐに開いていない(ネック部分の肉厚が違う)ヘッドがあり、シャフトを挿して構えると違和感がありました。シャフトを真っ直ぐに挿すためには、穴を大きめに開け直したり、シャフトとヘッドの間に、詰め物をかましたりと余計な作業をしなければならないのです。

 また、PWが構えにくいと言うので、スペックを見てみるとフェースプログレッション(mm)が8番で+4.6mm、9番で+4.5mm、PWが+3.6mmでした。フェースプログレッション(mm)とは、シャフト軸線(ホーゼル、ネックの中心線)とリーディングエッジ(フェース面の最も前にあるライン)との関係で、シャフト軸線がリーディングエッジと一致する場合は0で、前方にある場合は+プラス、後方にある場合はーマイナスで表します。

 数字で約1mmのズレですが、数字以上にフェースの中央付近が凹んだ状態に見え、構えると明らかに歪で、PWだけ顔が違い、ひどいヘッドでした! シャフト軸線とネック中心線にズレがあれば、スペックを測れば数値にも表れるものです。

 出来の良いアイアンセットのヘッドとは、シャフトを挿した時に、シャフト軸線とネック中心線にズレが無く、ロフト角、ライ角を調整した時に、ソール角、フェースプログレッション、重心角などの、ヘッドに関する数値が揃い、全ての番手を構えた時に同じ顔に見えるものです。

 軟鉄鍛造品でもシャフト軸線とネック中心線にズレが生じる様なヘッドでは、ネックで調整し、数値を揃えたとしても、良いクラブには、仕上がらないでしょう。

 また、他にも同じ様な、よく似たケースがありました。

 T 社のアイアンセットを計測したところロフト角7番が33度、8番が38度、9番が40度でピッチが5度、2度だった・・・。C社のアイアンセットを計測したところ4番アイアンのロフトが24.0度、5番アイアンのロフトが24.5度と差(ピッチ)が0.5度だった・・・。

 いずれも、シャフト軸線とネック中心線のズレが原因でした。